医薬品情報における課題
- 電子添文、医薬品インタビューフォーム、医薬品リスク管理計画書、患者向医薬品ガイドなどの医薬品関連文書は、PMDAのウェブサイト内にある医薬品情報提供ページに掲載され、その多くがPDF形式で入手可能。
- しかし、PDF形式での医薬品情報は「活用できないデジタル化」ともいわれ、コンテンツ間の相互連携がなされておらず、相互運用性に欠けています。
研究テーマ
「活用できるデジタル化」された医薬品情報、つまりそれぞれのコンテンツ間が連携し相互運用できる医薬品情報(医薬品情報DX)を実現するため、医薬品情報の構造化とその利活用について研究開発を進めております。
情報の構造化 とは
情報を「分解」、分類することで「整理」し、タグを使ってラベル付けすることで「取り出しやすくする(検索しやすくする)」こと
必要なときに、必要な情報を、最適な形で提供することが可能に
医薬品情報の構造化によるメリット
医薬品情報の構造化により、相互運用性(Interoperability)を向上させることで以下のようなメリットがあると考えております。
医療関係者 にとって
- 医薬品情報取得の効率化
- 副作用の予測
- 他の膨大な公共データベースとのリンク
● 情報取得の効率化
▶ 医師の働き方改革に寄与できる
●医療関係者様向けの取組み
製薬会社 にとって
- MR活動・コールセンター業務におけるDI提供の効率化
- 情報(情報の部品)を資材間で共通化することによる、原稿作成作業の効率化
- 資材のレイアウト作業の効率化
● 基本資材作成の効率化
●製薬会社様向けの取組み
本研究に関する学会発表
「医薬品情報の構造化」をテーマに、以下の学会において発表いたしました。
学会名 | 会期 | 会場 | 発表形式 |
---|---|---|---|
日本薬学会第144年会 | 2024年3月28日~31日 | パシフィコ横浜 会議センター・展示ホールAB | 一般学術発表(口頭) |
第26回日本医薬品情報学会総会・学術大会 | 2024年6月1日~2日 | 千葉大学医学部、医学部附属病院 | シンポジウム |
医療関係者様向けの取組み
❶ 添付文書-インタビューフォーム連携用変換プログラムの開発・導入支援
●取組みの概要
- 添付文書からインタビューフォームの関連項目へリンクするシステムを開発。
- 添付文書XMLとインタビューフォームPDFを入力すれば、自動的に両文書の紐づけを行う変換プログラムを開発。
●メリット
- 添付文書・インタビューフォームの統合検索が可能。
- レスポンシブデザイン対応しているため、スマートフォンでも閲覧がしやすくなります。
- 添付文書およびインタビューフォームの閲覧箇所のログを提供可能。
- 製薬会社のコールセンターで使用するFAQ作成の手間を軽減。
❷ 医薬品情報相互運用システム「DI-IS」の開発
●取組みの概要
- 添付文書やインタビューフォーム、医薬品リスク管理計画書、患者向医薬品ガイドなどの医薬品関連文書を統合的に検索できるシステムを開発。
- 各医薬品関連文書を統合検索するための構造化分析を行います。
●メリット
- ファイルが異なる医薬品情報を統合的に検索可能。
- 検索条件に関連する項目も同時に検索可能。
- 必要な情報だけをピンポイントで抽出可能。
- 複数条件で検索可能。 ※これらはPDFの文字列検索では実現不可。
製薬会社様向けの取組み
❸ 医薬品情報コンテンツの構造化分析支援
●取組みの概要
- 資材分析:既存資材を構成要素ごとに分解・整理し、重複要素・不足要素を抽出します。
- 削減案立案:重複要素・不足要素をなくすための統廃合案、仕様変更案を立案・ご提案します。
- 改訂作業:各構成要素が、どの資材のどこに使われているかをマッピングしたうえで、改訂作業を行います。
●メリット
- 資材の重複要素をなくすことで、制作コスト削減・期間短縮ができます。
また、改訂時は漏れなく・効率的に作業が可能。 - 資材マッピング表をつくることで、情報の流用箇所が確認可能。
❹ 医薬品情報CMS(Contents Management System)の開発・導入支援
●取組みの概要
- 分解した資材の構成要素を管理・流用することができるCMSを開発。
- XMLデータを専門知識なしで編集できる「SXC Cloud」を開発。 ※GROUP会社にて開発しているものを含みます。
●メリット
- 過去の資材の原稿を流用することで、効率的な原稿作成が可能。
- クラウド環境にて、最終成果物に近い形でXMLデータを編集可能。
- 変更履歴管理を行い、新旧比較が可能。
- 作成要領に準拠しているかなどを機械的にチェックすることが可能。
❺ 構造化文書(XML)からの自動組版プログラムの開発・導入支援
●取組みの概要
- XMLデータから各種データ形式(PDF/Word/PPT/HTMLなど)に自動組版するプログラムを開発。
●メリット
- データ形式ごとに制作する必要がないため、制作コスト削減・期間短縮につながります。
資材作成DX
❸~❺のようなことを実現することで、資材作成業務のDXにつながると考えております。
(例)添付文書、DIページの作成
添付文書の内容とDIページ(資材の裏表紙などに掲載)の内容はほぼ同じです。
従来の業務フローでは、添付文書とDIページを別々に作成しており、それによりデータの転記ミスのリスクがあったり、制作コスト・制作期間が余計にかかったりしています。
❸~❺のようなことを実現することで、XML形式のデータを編集し、用途にあわせたデータ形式に自動組版すれば、余計な制作作業を行わずに、データ転記ミスのリスクを軽減することができます。
これが、当社が考える「資材作成DX」です。
本研究の全体像
本研究を進めていき、下図のようなサービスラインナップを提供していきたいと考えております。
当社のPURPOSE
(わたしたちの存在意義)
伝わるメディカルの実践
本ページでご紹介した取組みは研究開発中のものを含みます。
PoC(概念実証)にご協力いただける医療関係者様、製薬会社様を募集しております。
ご興味がありましたら、お問い合わせをお願い申し上げます。